5.ギヤボックスエンコーダモジュールの作製


Ver.4キットでは,標準型と左右分離型のギヤボックス・エンコーダモジュールのどちらか一方を選択して組立てを行います.初心者は標準型を選択してください.左右分離型については,このページの最後の項目をご覧ください.

Step 1 - ギヤボックをつなぐブリッジの切り出しと加工

厚さ3mm の塩ビ板に,上に示した寸法をケガき,ドリルで3.5 の穴を開けます.そして,金のこで塩ビ板から切り出して下さい.ボール盤が利用できる環境にいる方は,先に切り出してから穴を開けた方が作業が楽だと思いますが,ハンドドリルで穴を開ける方は切り出す前に開けた方が断然楽です.図中の丸印のところは3.5のドリルで5個穴を開けることを意味しています.

金のこは柄(弓)のついたものでも,左の写真のように刃単体でも結構です.私は刃だけで塩ビ板を切っています.工作に慣れていない方もいると思いますので,念のため書いておきますが,金のこの刃は押すと切れる向きに使います.直線に沿って切るときには,刃と塩ビ板とのなす角度を小さくすると真っ直ぐきれいに切ることができます.

この部材は2つのギヤボックスを繋ぐのに使いますので,「ブリッジ」と呼ぶことにします.

Step 2 - ギヤボックス・エンコーダモジュールの構成

3mm のビスを使って,ブリッジの中央にエンコーダ用固定具(灰色をした塩ビ製ブロック)を固定します.どの側面にも穴があって,どの向きに取り付けてよいのか迷いますが,エンコーダ用固定具の取り付け方向はブリッジ側から測って18.5の穴が開いている方が上になるようにして下さい.取り付けにはキットに付属のタップネジを使います.もし,タッピングねじを使うのが嫌であれば,3mmのタップを立ててビス止めでも構いません.

つぎに,ギヤボックスとエンコーダディスクを用意し,モータ軸に付いている青いピニオンギヤに反対側からエンコーダディスクのシャフトをモータの軸と接触するところまで差込みます.ペンチなどでエンコーダの軸をつまんで差し込むと良いでしょう.ただし,エンコーダの回転ぶれや脱着の原因になりますので,このときにエンコーダの軸でピニオンギヤをこねる(ギヤの穴を広げる)ことはしないで下さい.差し込みがうまくいったら,ピニオンギヤがモータ側にずれていないかどうかをチェックします.もしずれているようであれば,モータの軸の部分とエンコーダのシャフトの部分とが均等にピニオンギヤに入るように,ラジオペンチの先かマイナスドライバの先をモータ本体とピニオンギヤのツバの間に入れてピニオンギヤの位置を調整して下さい.

ここで,一度モータに電池をつなげて回転させてみます.エンコーダの軸がぶれて回転するようなら,ぶれないようにエンコーダのシャフトの角度を調節して下さい.この調整如何で,安いモータが高級な制御用モータに変わるかどうかが決まります.

2組のギヤボックスにそれぞれエンコーダディスクを取り付けたなら,2つのギヤボックスを両側から近づけます.ギヤボックスの台座がブリッジにピッタリと接触するように置かれた状態が組み上がりの状態です.その状態になるように,ギヤボックスとブリッジとをビスとナットを使って固定して下さい.

念のため,ここでもう一度,モータに電池をつなげてシャフトがぶれて回転していないかどうかチェックをしておくとよいでしょう.軸がぶれないのを確認したら,最後に,エンコーダ用固定具に,エンコーダ基板2枚を写真のように取り付けて完成です.エンコーダ基板は長い穴の開いている方を固定具の上側に,丸い穴の開いて方を固定具の側面にそれぞれタッピングねじ(あるいはビス)で取り付けて下さい.

Step 3 - ギヤボックス・エンコーダモジュールのボディへの取付

このモジュールをボディに取り付けるときには,ボディ側に下図のような寸法で穴を開けて下さい.図中M3 と書かれている箇所は2.6のドリルで穴を開けた後,3mm のタップを立てることを意味します.4-M3の穴にはギヤボックスを固定するためのビスが入ります.6mmの長さのビスが2本,30mmの長さのビスが2本必要です.3.5の穴にはエンコーダ用固定具を固定するためのタッピングねじ(あるいはビス)が入ります.

追記 - 左右独立型エンコーダ基板

Ver.4キットでは左右独立型エンコーダ基板を用意しました.組立て時の写真を示します.上記の従来型エンコーダモジュールの場合には左右のモータの配置に制限がありますが,左右独立型エンコーダ基板を使うとモータを左右独立で配置できるため,ロボットのモータの配置を自由に決定でき,さまざまな形状のロボットを作りやすくなります.また,左右独立型エンコーダ基板を使ってエンコーダ付モータを製作できるので,工夫次第で風船割りやブロック運び用ロボットアームを作ったりすることもできます.

左右のモータそれぞれについてエンコーダーのA相・B相の位相の調整が必要になります.エンコーダー基板の取り付け位置や傾きを調整して,位相を調整してください.どうしても調整がうまくいかない場合は以下の方法を試してみて再度調整してみてください.

エンコーダーディスクの穴をφ4mmのドリルで広げる.

エンコーダー基板をギヤボックスに取り付ける際にワッシャーを1〜2枚はさんで取り付ける.


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