標準ロボットキットver.4の製作マニュアル

ロボット・トライアスロン用標準ロボット Ver.4 の製作法を公開します.

組立てに必要なもの

あると便利なもの

組立て

使用する特殊工作器具は,小型ボール盤(ハンドドリルでも可),ハンドタップ,平ヤスリ程度です.製作に必要な電子回路部品や部材は札幌の梅澤無線電機さんにお願いして揃えて頂いています.また,半田ごて,ニッパー,ラジオペンチ,ワイヤーストリッパなどの電子回路工作用具もロボットトライアスロン用として特別に揃えて頂きました.

このマニュアルでは「ロボット・トライアスロン標準ロボットお助けキットVer.4(CPU別売)」(梅澤無線電機 税込14,700円)を使用してロボットを製作していきます.なお,ロボットの製作にはこのキットの他に秋月電子通商で販売している「AKI-H8/3664Fタイニーマイコンキット」や「H8/3664F用のCコンパイラ」が必要になります.このマニュアルでは,この構成を基本に説明していますが,梅澤無線電機さんで販売している「テクニカル工房製TEC-ATR3664Pキット」と「ルネサステクノロジ製の無償コンパイラHEW2」の組み合わせでもOKで,マニュアルの中でその使い方を適宜補足します.

  1. お助けパックの中身の確認(所要時間:1時間) >>
  2. 「ロボット・トライアスロン標準ロボットお助けキット」の中には特製両面プリント基板(メイン基板1枚,エンコーダ用基板2枚,センサ用基板1枚),IC,トランジスタ,抵抗,コンデンサ,スイッチなどの電子回路部品とスペーサ,3mm厚の塩化ビニール板,キャスタなどの工作部材が入っています.内容物のリストも箱の中に入っていますので,まずはリスト通りのものが入っているか確認して下さい.

  3. プリント基板への部品の取り付け(所要時間:3時間) >>
  4. 高さの低いものから部品を取り付けていくのが原則です.IC,トランジスタ,電解コンデンサは取り付けの向きがありますので,間違えないようにして下さい.メイン基板,ENCODER1, ENCODER2と書いてあるエンコーダ用基板に部品を取り付けます.勢いで,AKI-H8/3664Fタイニーマイコンも完成させてしまいましょう.

  5. ギヤボックスの組み立て(所要時間:1時間) >>
  6. TAMIYA6速ギヤボックスHE2セットをギヤ比 29.8:1 で組み立てます.

  7. エンコーダディスクの製作(所要時間:30分〜1時間) >>
  8. ギヤボックスに付属してくる円形アームにキットに付属のナイロンプラグの芯を固定してロータリーエンコーダの回転円板を作ります.

  9. ギヤボックスエンコーダモジュールの作製(所要時間:2時間) >>
  10. 安価なDCモータを高級な制御用モータに変える仕掛け作りです.モータの出力軸にロータリエンコーダディスクとフォトインタラプタを取り付け,ギヤボックスモジュールを作ります.

  11. ボディーの設計と加工(所要時間:2日) >>
  12. ギヤボックスモジュール,プリント基板,電池ボックスなどの配置を考えて,ボディの寸法を決め,塩ビ板からボディを切り出します.穴も沢山開けなければいけません.ヤスリがけも必要です.ここでの作業はオリジナリティの出るところで,楽しくもあり,またしんどいところでもあります.

  13. 走行系の配線(所要時間:1時間30分) >>
  14. ロボットを組み立てて,電源まわりの配線,すなわち,ボードと電池とトグルスイッチの間の配線,ボードとモータへの配線,ボードとエンコーダ基板への配線を行います.この配線で一応ロボットが動き回るハードウェアの部分が完成です.

  15. 調整用プログラムの書き込み(所要時間:1時間〜2時間) >>
  16. ロボットを動かすプログラムを開発するためのパソコン環境を構築します.つぎに,調整用プログラムをコンパイルしてロボットに書き込み,ロボットがプログラム通りに前進・後退するように,また指定した速さで移動できるように調整を行います.

  17. ラインセンサ,距離センサの取り付け(所要時間:1時間) >>
  18. センサ用基板に電子素子を取り付け,ボードのコネクタと接続します.また,距離センサの取り付けも行います.

  19. 修正情報 >>
  20. ロボット・トライアスロン標準ロボットお助けキットに関する修正情報を説明します.

以上でロボットのハードウェアの製作はほぼ完了です.このロボットを自在に動かすには少しだけ勉強が必要ですので,前のページに戻り「競技用標準ロボットの詳細」にお進み下さい.

標準ロボットキットver.3からの変更・修正点

  1. Ver.3で使われていた赤外線LED(TLN103A)・フォトトランジスタ(TPS603A)の廃版のため赤外線LED(TLN119)・フォトトランジスタ(TPS615)へ変更
  2. Ver.3でディップスイッチを基板に直接取り付けずケーブルを介して取り付けるとケーブルが長い場合にスイッチに対するポートの反応が不安定となることがあるため,プルアップによってこれを修正.ロボットの外装にディップスイッチを引き出して取り付けても安定した動作が可能に.
  3. Ver.3以前のcore.marファイルではNMIに対する割り込み処理が記述されておらず,ロボット走行中にリセットがかかることがあったため,これを修正
  4. Ver.3ではプログラムの書き込み中にモータドライバICのラッチアップによってロボットが予期せず走り始めることがあったため,プルダウン処理を行いこれを修正
  5. エンコーダディスク製作用のビニルクリップを同梱
  6. (上級者向け)マイコン上の各種のIOポートやオペアンプの端子を基板上に引き出し,デバックやロボットを工夫する際の端子の作成を容易に
  7. (上級者向け)Ver.3ではライントレースセンサ・ライン検出センサの赤外線LEDの光量が固定だ(基板に取り付けた抵抗器で決まる)が,Ver.4では抵抗器を可変抵抗に変更できるように修正.変更を行うとセンサの感度の微調整が可能となる.
  8. (上級者向け)Ver.3ではエンコーダ基板の構造からモータの配置が限定されるが,Ver.4で左右独立型のエンコーダ基板を同梱しモータの配置を自由に変更できる
  9. Ver.3ではマイコンを誤った方向に取り付けたり段違いで挿入してしまうことがあるため,基板上にねじ穴を用意し,ここにスペーサを取り付けることで間違いを減らす工夫を行った.(現行のVer.4基板では穴の位置が少しずれていて,スペーサをうまく使うことができません.)